灯 と 君の名




と も り  と  き み の な

ほおずきに閉じこめた名前
春になれば消えてしまうひと
傷つけたくなくて、傷ついた
かえるの恩返し
この感情をすべて花束にして
雪も溶かさないなみだ
まっすぐ見つめた世界は、美しい
届かないことを恐れていたのは自分の方で
あの頃ぼくは、無知なこどもだった
どうか、砂時計をとめて
きみの知っていることすべて
幸福の面影を追いかけていた
大丈夫だと嘘をつくあなたの癖を知っているんですよ
別離はスパイスにもならなかった
鏡の中で向かい合う
どうか、あなたの生きた時間に触れさせて
その感情に名前をつけない

君が名前を呼んでくれるまでの時間
その距離は戸惑いを孕んで
瞬きをしたあとの世界に貴方はいない
酒の肴には向かない話
四季折々、走る理由は焦燥が身を焼くから
消失点の向こう側で落ち合う約束
「往にし辺」よりも近い「向かし」に思いを馳せる
魂の宿る文字
この世は無常でありまして
もし出来るなら、不器用な彼女に友人の定義を伝えに行きたい



【 たいせつにしたいものが、できたから 】